不動産がある場合の遺産分割の方法と注意点
相続財産に**不動産(自宅・土地・マンションなど)**が含まれている場合、遺産分割は一気に難しくなります。
現金のように簡単に分けられないため、相続人同士の意見が対立しやすく、トラブルに発展するケースも少なくありません。
この記事では、不動産がある場合の遺産分割の方法と、それぞれの注意点について、弁護士の視点からわかりやすく解説します。
目次
不動産がある相続でトラブルが起きやすい理由
不動産が絡む相続では、次のような問題が生じやすくなります。
- 不動産は簡単に分割できない
- 評価額について相続人の意見が分かれる
- 「住み続けたい人」と「売却したい人」が対立する
- 名義変更を放置すると後々問題が大きくなる
そのため、不動産がある相続では、分割方法を慎重に選ぶことが非常に重要です。
不動産を含む相続でも、まず前提となるのが遺産分割協議です。
遺産分割協議の基本的な流れや注意点については、
▶︎ [遺産分割協議とは?弁護士がわかりやすく解説] で詳しく解説しています。
不動産がある場合の遺産分割の主な方法
不動産を含む遺産分割には、主に次の4つの方法があります。
① 現物分割(げんぶつぶんかつ)
現物分割とは、不動産をそのまま特定の相続人が取得する方法です。
たとえば、長男が自宅を相続し、他の相続人は預貯金を相続するケースがこれにあたります。
メリット
- 不動産を売却せずに済む
- 手続きが比較的シンプル
注意点
- 他の相続人との不公平感が生じやすい
- 不動産の評価額を巡って争いになりやすい
② 代償分割(だいしょうぶんかつ)
代償分割とは、不動産を取得した相続人が、他の相続人に**代償金(現金)**を支払う方法です。
メリット
- 不動産を残しつつ公平性を保ちやすい
- 自宅に住み続けたい場合に適している
注意点
- 代償金を支払う資金力が必要
- 代償金額の算定で揉めやすい
③ 換価分割(かんかぶんかつ)
換価分割とは、不動産を売却し、その売却代金を相続人で分ける方法です。
メリット
- 現金化するため公平に分けやすい
- 相続人同士の感情的対立を減らしやすい
注意点
- 売却までに時間がかかることがある
- 売却価格や売却時期を巡って対立することがある
④ 共有分割(きょうゆうぶんかつ)
共有分割とは、不動産を相続人全員の共有名義にする方法です。
メリット
- とりあえず分割できるため、話し合いがまとまりやすい
注意点(特に重要)
- 将来、売却や管理で必ず揉めやすい
- 次の相続が重なると権利関係が複雑化する
- 弁護士としてはあまりおすすめできない方法
不動産がある相続では、評価額や取得方法を巡って意見が対立しやすくなります。
実際に多く見られる相続トラブルの具体例については、
▶︎ [遺産分割でもめる典型的なケース7選] をご参照ください。
不動産の評価方法にも注意が必要
遺産分割では、不動産の評価額をどうするかが大きなポイントになります。
- 固定資産税評価額
- 路線価
- 実勢価格(時価)
- 不動産鑑定評価
どの評価を基準にするかによって、相続人の取得額が大きく変わるため、事前にしっかり確認する必要があります。
このうちどの評価方法にするのか、その評価方法内でもどの価格を参照するのかについて争いになりやすいです。
不動産が絡む相続では、話し合いが本格化する前に専門家へ相談することが重要です。
弁護士に相談すべき具体的なタイミングについては、
▶︎ [相続で弁護士に相談すべきタイミングはいつ?] の記事で解説しています。
名義変更(相続登記)を放置するリスク
不動産を相続した場合、**相続登記(名義変更)**を行わないまま放置すると、次のようなリスクがあります。
- 次の相続が発生し、権利関係が複雑になる
- 売却や担保設定ができなくなる
- 相続人全員の同意が必要になり、手続きが進まない
不動産を取得することが決まったら、早めに相続登記を行うことが重要です。
なお、2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。
具体的には、不動産を相続したことを知ったときから3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料が科されることになります。
これは、2024年以降の相続だけでなく、過去の相続も対象になっています。もっとも、いきなり過料が科されるわけではなく、まずは法務局から「催告」がされ、それも無視して相続登記に応じなければ過料が科されるということになります。
不動産がある相続は、早めに弁護士へ相談を
不動産が絡む相続では、
- 分割方法の選択
- 不動産評価
- 相続人同士の利害調整
など、専門的な判断が必要になる場面が多くあります。
「まだ揉めていないから大丈夫」と思っていても、
話し合いが進むにつれて一気に対立が深まることは珍しくありません。
早めに弁護士へ相談することで、
- 将来のトラブルを防ぐ
- 有利な分割方法を検討できる
- 精神的な負担を軽減できる
といったメリットがあります。
不動産がある遺産分割は慎重な判断が必要
不動産がある相続では、分割方法を誤ると長期的なトラブルにつながります。
それぞれの事情に合った方法を選ぶことが重要です。
不動産を含む遺産分割でお悩みの方は、
一人で抱え込まず、早めに専門家へご相談ください。
投稿者プロフィール

-
法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており依頼者保護のために尽力している。
トレント問題の解決に精通しており、多数の解決実績がある。
最新の投稿
遺産分割2026年2月3日遺留分侵害額請求とは?制度の仕組み・請求できる人・注意点を弁護士が解説
遺産分割2026年2月3日遺言書があっても遺産分割でもめる理由
遺産分割2026年2月3日相続放棄をしたほうがいいケース・しないほうがいいケース
遺産分割2026年2月3日不動産がある場合の遺産分割の方法と注意点
