遺言書があっても遺産分割でもめる理由
「遺言書があるなら、相続でもめることはない」
そう思われがちですが、実務では遺言書があっても遺産分割でもめるケースは少なくありません。
遺言書は相続トラブルを防ぐ有効な手段ですが、
内容や状況によっては、かえって争いの火種になることもあります。
この記事では、遺言書があっても遺産分割でもめてしまう主な理由について、弁護士の視点からわかりやすく解説します。
目次
そもそも遺言書があっても遺産分割は必要?
原則として、有効な遺言書がある場合は、遺言書の内容が優先されます。
しかし、次のような場合には、遺産分割協議が必要になることがあります。
- 遺言書に記載のない財産がある
- 遺言の内容があいまい
- 遺言書が無効・争われている
- 遺留分を巡る問題が生じている
その結果、相続人同士の話し合いが必要となり、トラブルに発展することがあります。
遺言書がある相続でも、状況によっては遺産分割協議が必要になることがあります。
遺産分割協議の基本的な仕組みや進め方については、
▶︎ [遺産分割協議とは?弁護士がわかりやすく解説] をご参照ください。
遺言書があっても遺産分割でもめる主な理由
① 遺言書の内容があいまい・不十分
遺言書に、
- 「自宅は長男に任せる」
- 「財産は適切に分ける」
といったあいまいな表現があると、解釈を巡って争いが生じやすくなります。
不動産の特定が不十分な場合や、分配割合が明確でない場合も、トラブルの原因になります。
② 遺言書に書かれていない財産がある
遺言書作成後に新たに取得した財産や、記載漏れがある財産については、遺産分割協議が必要になります。
特に、
- 預貯金口座の増減
- 不動産の追加取得
などは、実務上よくあるトラブルです。
③ 遺留分を侵害している
遺言書の内容が、特定の相続人に偏っている場合、遺留分侵害額請求が問題になることがあります。
たとえ遺言書があっても、
- 配偶者
- 子
- 直系尊属
には、法律上保障された最低限の取り分(遺留分)が認められています。
この請求を巡って、相続人間の対立が深まるケースは少なくありません。
④ 遺言書の有効性が争われる
次のような場合、遺言書自体の有効性が争われることがあります。
- 本人の意思能力に疑いがある
- 偽造・変造が疑われている
- 自筆証書遺言の形式不備
遺言書が無効となれば、結局、遺産分割協議を行う必要が生じます。
⑤ 遺言執行者が指定されていない
遺言執行者が指定されていない場合、
誰が手続きを進めるのかを巡って混乱が生じることがあります。
相続人同士の不信感が高まり、話し合いがスムーズに進まなくなる原因となります。
⑥ 不動産の分け方に不満が出やすい
遺言書で不動産の取得者が指定されていても、
他の相続人が不公平感を抱くことがあります。
特に、不動産の評価額を巡って意見が分かれやすく、
遺言書があっても争いに発展しやすい分野です。
遺言書で不動産の取得者が指定されている場合でも、
分け方や評価を巡って争いが生じることがあります。
不動産が絡む遺産分割の注意点については、
▶︎ [不動産がある場合の遺産分割の方法と注意点] の記事をご覧ください。
⑦ 感情的な対立が残っている
相続トラブルの多くは、法律の問題だけでなく、
感情的な対立が背景にあります。
遺言書があっても、
- 生前の扱いへの不満
- 介護の負担に対する不公平感
などが解消されていないと、紛争に発展しやすくなります。
遺言書が原因で相続トラブルに発展するケースは、決して珍しくありません。
実際によく見られる相続トラブルの具体例については、
▶︎ [遺産分割でもめる典型的なケース7選] で詳しく紹介しています。
遺言書がある相続こそ、早めの専門家対応が重要
「遺言書があるから大丈夫」と思い込んで放置すると、
かえって相続人同士の対立が深刻化することがあります。
遺言書の内容に少しでも不安がある場合や、
相続人間で意見の食い違いが見られる場合は、
早めに弁護士へ相談することでトラブルを未然に防げます。
遺言書があっても相続人間で意見の対立が見られる場合、
早めに専門家へ相談することで紛争を防げる可能性があります。
弁護士に相談すべき具体的なタイミングについては、
▶︎ [相続で弁護士に相談すべきタイミングはいつ?] を参考にしてください。
まとめ|遺言書があっても油断は禁物
遺言書は相続トラブル防止の重要な手段ですが、
万能ではありません。
内容や状況次第では、遺言書があっても遺産分割でもめることがあります。
適切な対応を取るためにも、専門家のサポートを受けることが重要です。
遺言書のある相続でお悩みの方は、
早めに弁護士へご相談ください。
投稿者プロフィール

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法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており依頼者保護のために尽力している。
トレント問題の解決に精通しており、多数の解決実績がある。
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