相続放棄をしたほうがいいケース・しないほうがいいケース
相続が発生したとき、
「相続放棄をしたほうがいいのか、それとも相続すべきなのか」
と悩まれる方は少なくありません。
相続放棄は、うまく使えば大きなトラブルを避けられる一方で、
一度すると原則として撤回できないという重要な特徴があります。
この記事では、相続放棄をしたほうがいいケースと、しないほうがいいケースについて、弁護士の視点からわかりやすく解説します。
相続放棄を検討する前提として、そもそも相続ではどのように遺産を分けるのかを理解しておくことが重要です。
相続手続きの基本となる遺産分割協議については、
▶︎ [遺産分割協議とは?弁護士がわかりやすく解説] で詳しく解説しています。
目次
相続放棄とは?
相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の一切の財産と負債を引き継がないとする手続きです。
相続放棄をすると、
- プラスの財産(預貯金・不動産など)
- マイナスの財産(借金・保証債務など)
のすべてを相続しないことになります。
相続放棄は、原則として相続の開始を知った日から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
相続放棄をしたほうがいい4つのケース
相続放棄をすると、一切の財産や負債を相続しなくていいことになります。
この章では、相続放棄した方がいい4つのケースについて解説します。
① 借金や負債が明らかに多い場合
被相続人に多額の借金がある場合、相続放棄をすることで借金の支払い義務を免れることができます。
- 消費者金融からの借入
- 住宅ローンが残っている不動産
- 保証人になっていた債務
などがある場合は、早めに相続放棄を検討すべきです。
相続人として裁判を起こされてしまうと、裁判対応を行う手間がかかってしまいます。
② 相続財産の内容がよく分からない場合
財産状況が不明確で、
「後から借金が出てくるかもしれない」
という場合も、相続放棄が選択肢になります。
特に、
- 長年疎遠だった親族
- 事業をしていた被相続人
の場合は注意が必要です。
なお、この場合に単純承認をしていなければ、3か月の熟慮期間経過後であっても相続放棄が認められるケースもあります。
③ 不動産の管理や維持が大きな負担になる場合
相続した不動産が、
- 老朽化している
- 遠方にあり管理が難しい
- 売却も活用もできない
といった場合、相続することでかえって負担になることがあります。
このようなケースでは、相続放棄を検討することも一つの方法です。
④ 他の相続人とのトラブルに関わりたくない場合
相続人同士の関係が悪く、
遺産分割協議が紛糾することが明らかな場合、
相続放棄をすることで相続問題から離れることができます。
精神的な負担を避けたい方にとって、有効な選択肢となることがあります。
相続放棄を検討する背景には、相続人同士のトラブルが関係していることも少なくありません。
実際によくある相続トラブルの具体例については、
▶︎ [遺産分割でもめる典型的なケース7選] をご参照ください。
相続放棄をしないほうがいい4つのケース
相続放棄をすると、一切の財産や負債を相続しなくていいことになります。
この章では、相続放棄しない方がいい4つのケースについて解説します。
① プラスの財産が明らかに多い場合
預貯金や不動産など、プラスの財産が明らかに多い場合は、
相続放棄をしてしまうとそれらを一切受け取れなくなります。
「念のため相続放棄」という判断は、後悔につながることもあるため注意が必要です。
② 思い入れのある不動産を相続したい場合
実家や先祖代々の土地など、
どうしても引き継ぎたい不動産がある場合、相続放棄は適しません。
相続放棄をすると、不動産だけを相続することはできません。
相続財産に不動産が含まれている場合、相続放棄をすべきかどうかの判断は特に慎重に行う必要があります。
不動産がある相続の具体的な分割方法や注意点については、
▶︎ [不動産がある場合の遺産分割の方法と注意点] の記事で詳しく解説しています。
③ 相続放棄の期限(3か月)が迫っている場合
相続放棄の期限を過ぎると、原則として相続放棄はできなくなります。
期限が迫っている状態で十分な検討をせずに放棄すると、
後から「やはり相続すべきだった」と後悔するケースもあります。
相続放棄の期限が迫っているケースでは、熟慮期間の延長を裁判所に申し出ることも検討しましょう。
④ 単純承認とみなされる行為をしている場合
次のような行為をすると、相続放棄ができなくなる可能性があります。
- 相続財産を処分した
- 預貯金を引き出して使用した
- 不動産を売却・賃貸した
すでにこれらの行為をしている場合は、相続放棄が可能か慎重な判断が必要です。
相続放棄を検討する際の重要な注意点
- 相続放棄は原則として撤回できない
- 他の相続人に相続権が移る
- 放棄後も一定期間、財産管理義務が残ることがある
相続放棄は「とりあえずするもの」ではなく、
状況を正確に把握したうえで判断すべき制度です。
相続放棄には期限があり、判断を誤ると取り返しがつかなくなることもあります。
弁護士に相談すべき具体的なタイミングについては、
▶︎ [相続で弁護士に相談すべきタイミングはいつ?] を参考にしてください。
相続放棄で迷ったら、早めに弁護士へ相談を
相続放棄をするかどうかは、
- 財産と負債の内容
- 他の相続人との関係
- 今後の生活への影響
などを総合的に考える必要があります。
判断を誤ると、
- 本来受け取れる財産を失う
- 逆に大きな負担を背負う
といった結果になりかねません。
少しでも迷いがある場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
まとめ|相続放棄は慎重な判断が不可欠
相続放棄は、有効な制度である一方、リスクも伴います。
「したほうがいいケース」「しないほうがいいケース」を正しく理解し、
ご自身の状況に合った選択をすることが大切です。
相続放棄について不安や疑問がある方は、
一人で悩まず、専門家にご相談ください。
投稿者プロフィール

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法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており依頼者保護のために尽力している。
トレント問題の解決に精通しており、多数の解決実績がある。
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